いらっしゃいませ、葵です。
以前、Movie Barを開店させたいという野望を語ったのですが…
今日、ようやく叶えます!
これから不定期で更新する予定です。
しあわせの雨傘
監督は、フランソワ・オゾン
主演は、カトリーヌ・ドヌーブ
カトリーヌドヌーブといえば、ロシュフォールの恋人たちやシェルブールの雨傘で有名な、綺麗なお姉さんというイメージ。
ひさびさに見るカトリーヌドヌーブは、ふっくらとしていて品のいいマダムになっていて。
ああ、良い年の重ね方をしているのだなぁと、嬉しくなったものです。
スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は毎朝のジョギングが日課の幸せなブルジョワ妻だったが、ある日、雨傘工場を運営する夫ロバート(ファブリス・ルキーニ)が心臓発作で倒れ、雨傘工場を切り盛りすることに。
亭主関白の夫の下で押し黙る日々を送っていた彼女だったが、子ども、昔の恋人、工場の従業員たちの協力を得て予想外の本能が目覚めていく。
旦那には「女は仕事に口を出すな」「お前に経営はわかるはずがない」と言われ、ニコニコ笑っているお飾りの妻であることを要求される。
そんな母を見て育った子どもには「ママみたいにはなりたくないの」と憐れまれる。
ある日、旦那の経営する雨傘工場で従業員がストを起こし、旦那が監禁される事態に!
「奥さんが交渉をするんだ」と言われた時、家族全員が鼻で笑う。
スト後、心臓発作で倒れた旦那に変わり、スザンヌが経営を任されることに。
周りは皆「ママにそんなことできるわけないじゃないの」と本気に取り合わない。
旦那にも子どもにも見下され、憐れまれる人生。
なんて悲しいんだろう、と若造ながらに思ったのですが…
フランソワ・オゾン作品はこんなことで終わらない!
細やかな心配りと、外部の人間であるが故の客観的意見、従業員を思いやる心…
社会で言われがちな「女性ならではの心遣い」で、問題を解決し、信頼を得ていく。
この映画のおもしろいところは、経営が安定し、従業員の満足度も高い、大団円に見える状況に、入院していた旦那が帰ってきてしまうというところ!
旦那と妻のバトル、揺れ動く恋心など、女性の心情を描いていておもしろい!
〰
男尊女卑の背景にあまり抵抗がないのは、日本人だからかしら。
今は過渡期にあると言えるけれど、まだまだお飾り妻の需要もあるし…
この深刻なテーマを、軽やかにおもしろく描けるのは、フランス映画ならではかも。
映画自体テンポよく進むので、サクッと見られます◎
ただの女性のサクセスストーリーではなくて。
ただ男社会の中、肩肘を張って強く生きるというよりか、しなやかに柔軟に時には弱々しくも、どんどんと成長をしていく姿が印象的です。
彼女が成功した理由は「女性ならではの心配り」ではなく、彼女がこれまでの人生で旦那や子どもなどと関わるうちに習得した、彼女の個性。
女性の社会進出を「女性ならではの…」という人は多いけれど、女性が皆それを持っている訳ではなくて。彼女の持つ、賢さとしなやかさがあってこその作品!
カトリーヌ・ドヌーブのキャスティングが良いのです!
服装で、彼女の変化を見るのも楽しい。
世間知らずと言われ、ピンクのふわりとシフォンを纏っていたかと思えば、どんどん洗練されたマダムな服装に。
後半に人生に輝きを増す彼女の美しさたるや…!
女性の監督が女性を持ち上げているのが、同性としてはスカッと気持ち良いのですが…
男性が見るともやりとするのかな、と思う作品でもあるかも。
少なめではあるものの、フランス映画特有の下ネタもあったりして、抵抗あるかたもいるかも?
〰
昔からわたしは、フライヤー7割、好きな俳優2割、好きな監督1割といった塩梅で、観る映画を決めています。
自分好みの映画は、だいたいフライヤー(チラシ)でわかると思っていて。
しあわせの雨傘は、大学時代にTSUTAYAでバイトをした時に「パッケージが可愛いなぁ」と思って手に取ったのでした。
思えば、はじめの頃のフィルマークスは、オシャレラインナップが並んでいます。
somewhereとか、ストロベリーショートケイクスとか、キツツキと雨とか…
お洒落な映画が好きで、なんだか通ぶりたい、俗世に染まりたくないみたいな、なんかマイノリティを演じていたかった自分が垣間見える。
女性の社会進出をそれっぽく語っていた記憶が蘇って、恥ずかしい。
おわりに
一番最初に紹介するのは何にしよう…
と迷った結果、初心に返って。
鑑賞した映画を記録している、フィルマークスにはじめに投稿された映画にすることに。
考察できるほどの思考力もなければ、映画の良さを伝えられるほどの語彙も持ち合わせていないので、映画の批評とかはできないけれど。
もっと気軽に興味を持ってもらえればな、と。
読書も、映画も、音楽も、絵画も。
専門家のような人が、考察し、言葉で表現してしまって、なんだか難しいものだと思ってしまっているけれど。
もっと、楽しいな、心地いいな、この色合い好きだな、よくわからないけどよかったなみたいな、心が動いたことを大切にしたらいいと思うのです。
今後どうなるかはわからないけれど。
当分は、簡単なあらすじと、わたしが心を動かされたことと、私的なエピソードを交えながら、ゆるりと書いていきたいと思います。
知らない映画や、心が動く映画に出会えますように。