子どもが生まれる前に、ゆっくりと美術館を訪れたい。
何かを見て「ああ、いいなぁ」って思う時間を持ちたい。
ということで、善光寺の近くにある県立美術館へ行ってきました。
長野県立美術館で心洗われる時間
4月にリニューアルオープンされた長野県立美術館
白い建物が青空に映える!
カフェやレストランが併設されていたり、上に無料で入れる広場があったり。
美術作品を見る以外にも楽しめる施設になっています。
上から眺めると、まだまだ建設途中の部分もあったりして…
どんどんと整備されていくみたいです。
東京藝術大学スーパークローン文化財展
特別展示はスーパークローン文化財展
保存のために一般公開が困難な文化財や戦火で失われた壁画などを、東京藝術大学で開発された高精度な文化財複製の技術で再現された展示物たちです。
写真撮影もOK!
これもクローンならではの利点なのかも?
奈良法隆寺の法隆寺金堂釈迦三尊像
名前の通り、黄金に輝いていました。
名前は知っていたけれど、こんなに金ピカに輝いている仏像だったのかぁ。
一番感動したのが、法隆寺釈迦三尊像の背中に当たる部分に彫られている文字。
法隆寺金堂釈迦三尊像光背銘と言うこちらも、一文字一文字手作業で彫られています。
字体が変わってしまわぬよう、一彫り一彫りしている映像が衝撃的でした。
壁画は筆の跡までしっかりと再現して塗られていて、本当にもう…!
”複製”って聞くと、贋作のようにあまりいいイメージを抱かないかと思うのですが、失われたものが再現されたり、公開することができないものを見ることができる。
本当に現代の技術は素晴らしいなと思うばかり。
それと同時に、技術が進歩しても芸術は人の手によって支えられていて、職人さんや芸術家の方々はすごいなぁと。そんな月並みなことを思ったりしたのでした。
東山魁夷館
こちらも大本命の東山魁夷館
日本画家である東山魁夷から作品と関連図書の寄贈を受けて開館されました。
970点あまりある収蔵作品は、およそ2ヶ月に1度展示替えがされています。
東山魁夷の作品でどうしても見てみたいものがあって。
ちょうど展示の時期だったので、展示替えされる前にとやってきたのでした。
その作品が《緑響く》
原田マハさんの小説「生きるぼくら」の装丁に使われている絵です。
初めて見た日から心掴まれていた絵だったので、是非本物を見てみたい…!
知識浅く、東山魁夷の作品は《緑響く》をはじめとした白い馬の作品しか存じていなかったのですが…
京都とも関わりが深く、学生時代に見慣れた京都の風景が描かれていたり、ドイツや北欧の街並みを描いた、日本画家とは思えない西洋画のようなタッチも見られて興味深かったです。
お目当ての《緑響く》は想像を超える美しさでした。
一番最初に感じたのは「青が綺麗」ということ。
写真で見ると深緑の印象だったのですが、本物は緑に混じる青の美しさが際立っている気がします。
朝靄に包まれたような、幻想的に霞がかった森。
幻かと思うほどに、淡くぼんやりと浮かぶ白い馬。
絵の前で思わず深呼吸。
森の中のひんやりと冷たく心地よい空気で、肺が満たされた気持ちになりました。
絵の前に座って何時間でもぼんやり眺めていられる作品。
この絵の風景は長野県茅野市で見られるようなので、長野にいる間に一度訪れてみたいものです。
霧の彫刻
東山魁夷館を出ると、本館と東山魁夷館を繋ぐ通路になにやら人だかりが…
シュウウウという音と共に、白い霧が現れました。
風によって揺らめいて、空に舞いあがっていく霧は、どんどんと姿を変えていきます。
あたり一面真っ白な世界に包まれていく…
こういう芸術もあるのかぁ。面白い。
作品名が《霧の彫刻》っていうのもおもしろい。
彫刻って何かを彫って立体的に表すものだと思っていたから。
霧自体が立体をつくっていく。
彫刻をつくるプロセスを見ている感覚なのだろうか…
芸術って奥が深い。
水辺から霧が出てくる
— 葵 @ I am 💐 (@___s72) 2021年5月28日
おもしろいアートでした。 pic.twitter.com/ri6VCILDZK
おみやげ
可愛くて、ひと目見て購入を決めた。
長野県の鳥「雷鳥」が描かれたキャニスター
この子は夏毛の雷鳥です。
中には蓋もあって、しっかりした作りです。
ちょうど飲みかけの緑茶の茶葉があったので入れてみました。
緑茶を入れるときに使う南部鉄器と一緒に置いています。
佇まいが最高に可愛い…!
おわりに
歴史や美術品の裏にある背景なんかを知っていればより楽しめるのだろうけど…
美術や歴史に疎くても、素敵なものはなにか胸を打つものがある。
心が洗われるような、なにかが潤されるような感覚。
難しいこと抜きに、素晴らしいものを見て美しいと思える時間っていいな。
なかなか時間が取れなくなるだろうけど、これからも定期的に綺麗なものと触れ合う時間を取っていきたいと思ったのでした。